わきがの手術

原因を根本から取り除き、効果が持続する根治的治療法

非直視下手術法

手術をともなう治療法にはさまざまな方法があり、いずれも以下のことを目標に、開発・改良されてきました。ポイントは次の6点です。

(1)ニオイが確実にとれる
(2)汗が確実に減る
(3)安全で副作用がない
(4)再生・再発しない
(5)傷跡が目立たない
(6)短時間でできる

いずれも重要なポイントですが、これらすべてを満たすのはなかなか難しいものです。

手術法は、(1)〜(6)までどのポイントを優先するかによって、2つに大別できます。
まず(1)〜(4)を優先し、アポクリン腺を腺根までていねいに除去することに主眼を置いた方法を、「直視下手術法」と呼びます。医師が自分の目で、手術対象となる部位を見ながら、自らの手で行う手術だからです。

(5)と(6)を重視した、「より早く治療し」「より傷跡を目立たなくする」ことに主眼を置いた治療法もあります。この方法では、アポクリン腺を摘出するために、さまざまな器機が使われ、医師が直接、手術の対象となる部位を見ることなく、機械に頼って行う手術法になるので、「非直視下手術法」、あるいは「機械的方法」と呼んでいます。

主な非直視下手術法には、次のような方法があります。


皮下組織掻爬(そうは)法
鋭匙(えいひ)というスプーン状の刃物を切開口に入れ、アポクリン腺をかき出す方法です。しかし、鋭匙の刃の切れ味をよくするのが難しく、除去効果も確実でないため、現在ではほとんど行われていません。


皮下組織削除法
基本的には掻爬法と同じく、アポクリン腺をかき出す手法ですが、鋭匙の代わりに、ひげそり刃と皮膚を圧迫するローラーを組み合わせたような器具を使用します。
使う器具の完成度は、機械的手術法のなかでも最高レベルですが、熟練した医師でないと操作が難しいという難点があります。不慣れな医師が行うと、皮膚が裂傷を負ったり、皮下の神経組織を傷つけたりすることがあり、ベテランの技術が求められる方法です。
また、アポクリン腺が除去できたかどうかは、外側の皮膚の色の変化判断することになるため、判定にも熟練を要する点など、いくつかの課題が報告されています。


皮下組織吸引法(超音波法)
発想は美容外科で行っている脂肪吸引と同じです。おなかの脂肪を吸い出すように、吸引器によってアポクリン腺を吸い出します。超音波でアポクリン腺を破壊してから、吸引する方法もあります(超音波法)
これらの方法ではアポクリン腺が完全に除去されたかどうかの判定ができません。アポクリン腺は皮膚の真皮層に貝柱のようにしっかりと密着しているため、腺根が残って再発する可能性が非常に高いのです。また、真皮層にあるエクリン腺を摘出できないので、発汗量を減らすことはできず、多汗の解決にもなりません。



五味常明 院長