体臭多汗の心理療法

生活や対人関係に支障をきたす不安への対処

神経症になりやすい性格

神経症としての自己臭恐怖や手掌多汗症の患者さんに共通する性格があるので、それをみてみましょう。

まず診察して、一見してわかる特徴は、目線です。医師の目をじっと見て話をするといったことは少なく、目を伏せがちで、小声で訴えます。内気で内向的性格というのが第一印象です。
さらに話を聞いていくと、単に内向的なだけではなく、負けず嫌いの完璧主義で、努力家で、非常に強い向上発展欲を兼ね備えているといった、アンビバレンツな性格をしていることがわかります。
その上、強い執着傾向があるために、たえず自分に注意や関心が向きやすく、ひとつの間題が意識されると、それが解消するまでは注意が他に向かない状態になりやすいことも特徴です。

精神療法を行う際に、我々治療者は、以上のような患者さんの複雑な性格傾向を十分考慮して接しなければならない、と考えます。

たとえば、ただの親切心から、
「あなたはにおうと言うけれど、ちっともにおわないですよ」
「要するに気にしすぎですね」
「クヨクヨしないで頑張りなさい」
といった単純な説得では、「自分の悩みが全然わかってもらえない」と怒りをかきたてるだけで終わってしまいます。

治療行為とは、医師と患者の協同作業です。根気よい面接による相互の信頼関係の上に立って、初めて解決の糸口がつかめることを、我々治療者は肝に銘じ、患者さんの前に立つべきだと思います。


五味常明 院長